発達障害について (3)
発達障害の特性を強く持つお子さんは、
こだわりの強さや興味関心の幅が狭いことから、
気持ちが向かないことに対し人一倍抵抗を示したり、
意識を向けられずに
物事がなかなか身につかなかったりします。
しかし、その反面、興味を持ったことに対しては、
とことん突き詰める力があります。
============
ある小学生のA君は、
読み書きがなかなか身につかなかったのですが、
switchのゲームを始めて、
上手くなりたいから
インターネットでプレイの方法を
検索するようになりました。
何て書いてあるのかを知りたいから、
周囲の人に読み方を教えてもらい、
知りたいから教えてもらったことがすぐ身につき、
今では学校で習ってない漢字も読めるようになっています。
興味をもったことを突き詰めたいがために、
今までできなかったこともできるようになったり、
今まで興味を示さなかったことに興味を示したり!
興味をもったことを幹として
枝葉が広がる感じです。
==========
これは発達障害の診断がつかない人も
同じだと思います。
ただ、発達障害の診断がつかない人は、
先の見通しを立てられるので、
“これはやっといた方がよさそうだ”
と察知して、
やりたくないこともこなせますが、
発達障害の特性が強い人は、
先の見通しを立てることが苦手なので、
“これはやっといた方がよさそうだ”と察知できず、
やりたくないことの”やりたくない”というイメージが強すぎて重圧となり、
みんながなんなくこなすことを同じようにこなせなくなるのです。
なので、
やりたくないけどやらなければならないこと、
の先にわかりやすいご褒美を提示して、
気持ちをそちらに向かわせて、
その手前の”やりたくないこと”への意識を分散
させてあげた方がいい場合があります。
話が少しそれてしまいましたが、
つまり、発達障害の特性を強く持つ人に、
型通り/みなと同じように学習させようとするより、
本人が興味を示したことを利用して、
そこから必要な学習をさせようとした方が
効率的だったりします。
宿題などは
“いやなことでもこなせるようになる練習”と考え、
読み書き計算など、
生きていく上で身に着けた方がよいことは、
周囲と同じペースであることを求めず、
本人の興味関心を利用して、
タイミングをみて学習に結び付ける、
という考え方がよいでしょう。
福岡こどもと大人の心療内科 児童精神科
まちこメンタルクリニック
院長 井関 真知子